コラム③「カワハギさん寄っといで」監修 久松秀文氏より
2024.11.20
「カワハギさん寄っといで」へのこだわり
まず、私が集魚板を使用する目的についてお話します。
正直に言うと、「潮受けの良さ」や「潮に馴染む」という感覚は、十分に理解できていません。潮に押される方向に集魚板(仕掛け)が流されても、それがカワハギにとってエサを食べやすい角度になるとは、イメージしにくいのです。私自身は、常に「オモリ→ハリ→竿」という順番を保ちながら、仕掛けに適度な弛みを与え、カワハギがエサを食べやすい角度に仕掛けが調整されることを重視しています。
こうした考えに基づき、集魚板や中オモリをうまく使い、仕掛けの状態を整えています。特に集魚板は、その名の通り「魚を集めるための板」として、アピール力を高める役割を果たすことを期待して使用しています。
この考えをもとに、私の「カワハギさん寄っといで」へのこだわりについて紹介します。
① 薄さと軽さへのこだわり
最も重視したのは、集魚板の「薄さ」と「軽さ」です。厚さ0.3mm、重さ約1.8g(0.5号)は、おそらく他社製品にはない領域をカバーできていると思います。この軽さを活かして、集魚板の枚数を調整することで、「潮受け」の強弱を広範囲に調整できます。個人的には、「水切れの良さ(振りやすさ)」を重視しています。特に、超柔軟な穂先を持つ竿と組み合わせると、その操作性の高さを実感できます。さらに、集魚板の取り付け穴が大きいため、板が自由に動き、より良い水切れ効果を発揮します。
② 鏡面加工によるアピール
以前、カワハギが鏡に反応する動画を見たことから、この集魚板には鏡面加工を採用しました。カワハギが鏡に映った自分を他の魚と認識し、「他の魚より先にエサを食べよう」と競争心を刺激する効果を期待しています。また、天気の良い日にはフラッシュ効果が発揮され、釣り人にとっても魅力的に映るでしょう。ここでも、取り付け穴の大きさが集魚板の自由な動きを可能にし、アピール効果を高めています。
③ 白銀比を活かしたデザイン
集魚板の寸法には、視覚的な魅力が高いとされる「白銀比」(1:1.414、5:7)を採用しました。この比率は日本の文化やキャラクター(例:ドラえもん、アンパンマン、キティちゃんなど)にも多く使われ、視覚的に心地よいバランスを生み出します。カワハギにもこのデザインを好むことを期待しています。
④ コストの最適化
根掛かりが多いエリアでも集魚板を多用する私にとって、集魚板は消耗品と考えています。そのため、コストの面も重要視しました。以前、他社でレーザー加工を依頼した際、仕上がりは非常に美しかったものの、価格が高いため使用をためらいました。今回は、見た目の美しさよりも必要な性能を重視した加工方法を採用し、コストを抑えました。この加工方法と薄さにより、細かな傷や中央付近に2か所の打痕が入りますが、性能には問題ないと考えています。また、周囲のバリが気になる場合は、#1500程度の紙やすりを使って仕上げることもできます。シンプルな形状なので、キラキラシールや蛍光シールで自由にカスタマイズする楽しさもあります。スイベルは付属していないため、使用者の好みに合わせて連結方法を選ぶことができます。
自分だけのお気に入りの集寄に仕上げてくださいね!
久松秀文